ロマロのモノ作りには、時間という制約がない。目指すものができるまで製品として発売されることはないからだ。もちろん、その過程で妥協することもない。そんなブレないモノ作りを貫き、ゴルフクラブと向き合ってきた歴史には、素材に対する思いにも特別なものがある。だが、どんなものでも素材メーカーが作れるという訳ではない。新しい素材を作るには、要望をカタチにできるかどうかという、技術的な問題が介在する。昨年リリースしたアルファドライバーのフェースに採用したチタンジルコニウム合金（RZR446チタン）は、長年の共同開発の末に生まれた。こだわり続けてきたからこそ、新しい素材ができ、新しいモデルが生まれた。この「ペイナイトX3パター」にも、その姿勢は変わらない。JIS規格には、ステンレス素材に含まれるクロームやニッケルなどの成分に規定があり、それぞれ「16～18%」や「10～14％」と含有量に幅がある。ひと口にSUS316といっても、その幅の中でバラつきがあるのも現実。特殊分野で使用され高強度で切削が難しいとされるSUS316の成分含有量を見極め、ロマロがパター素材に求める「Japan Stainless Steel 316」を作り上げた。素材の良さを最大限に生かしたネック一体のフルミルドで、これまでに味わうことのない繊細なフィーリングを生み出すことができた。また、マイクロレベルで切削する独自のカラーミーリングをフェース面に施すことで、ロマロにしかできないフィーリングを作り上げた。シルバーはマイルド、ブラックはソリッドな打感に変える工夫をしている。オリジナル素材の開発だけでなく、ロマロの誇りとこだわりが、このパターには込められている。